エンゼルケアとは、亡くなった方に行う死後処置のことです。患者さんの死後、その人らしい外見に整えて人生の最後にふさわしい姿にします。長い闘病生活を経た後に亡くなった方は、元気だった頃とは大きく異なった姿であることが少なくありません。そういった方々の尊厳を守るためにエンゼルケアは必要とされています。また、遺された方々の心理的ケアにもつながります。ご遺族の心理的負担を軽減し、故人の死を受け入れるためにもエンゼルケアが求められます。
他の国は日本ほど積極的にエンゼルケアを行っていません。死に対する考え方の違いや法律的な理由から、亡くなった患者さんに看護師が触れられる機会が少ないのです。日本でも宗教的な理由からエンゼルケアを断られることはありますが、それでも世界トップレベルの内容です。
訪問看護で行うエンゼルケアの処置内容は病院とほとんど変わりませんが、時間の感じ方やご家族への対応が若干異なります。これまで故人を必死に支えてきたご家族からすれば、すぐに死を受け入れるのは難しいものです。そのため、ご家族へのケアが重視されます。
エンゼルケアは病院で行うもの以外にも、葬儀社が行うものもあります。病院で行うエンゼルケアは医療行為としての側面があるため、看護師などの専門的な知識を持ったスタッフが行います。また、病院と葬儀社では費用も異なります。葬儀社の方が費用相場は高いようです。